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段取りとMACなゴールで新しいことに挑戦する

「複業に取り組んで今までしたことのない経験をしたい、出会ったことのない人に会ってみたい」
「副業に挑戦して本業以外の収益の柱を持ちたい」

私がブログを始めたきっかけは、こんな思いからだった。

今でもこの思いは変わっておらず(なんせ副業収入は現時点で0円だから…)、むしろどんどん強くなっている。

終身雇用がオワコンと吹聴される現代にあって、自分のキャリアプランを自力で構築するために新しい一歩を踏み出したい人は多いだろう。

しかし、新しいことに挑戦する場合、必ず次の問いが発生する

「新しいことを始めるとして、無理なく続けられるのか?」

結論から言うと、新しいことを継続する仕組みがないと難しい。その仕組みを作るためのヒントとなるのが、メンタリストとしておなじみのDaiGoさんの著書『倒れない計画術:まずは挫折・失敗・サボりを計画せよ!』(河出書房新社、2018年)だ。

本書では、計画通りに物事を進めるためのコツとして、「段取り」と「MACの原則」の重要性を取り上げる。

仕事における段取りの重要性を実感している社会人は多い思うが、それを計画術に応用するとどうなるか?

さらに、その段取りに心理学に基づいた知見をちりばめるとどうなるか…本書から得られた気付きを記す。

● 新しいことに取り組んでも計画倒れになりそうな人
● 段取りの仕方がよくわからない人
● 心理学を応用した計画術に興味がある人

WHY?:なぜ段取りが必要なのか?

本書のキモとなる段取りだが、その必要性を問う前に、そもそも「計画=段取り」ではないのか?

個人的な意見だが、私が仕事をする上で段取りという言葉を使うときは「自分の担当業務を遂行する上で必要な手順と障害になりそうなコトをあらかじめ確認し、対応策の検討や関係者への事前連絡を済ませておくこと」が思い浮かぶ。

ようは「計画通りに物事を進めたくても不測の事態は起こるだろうから、事前に対処法を考えよう」というニュアンスで使っている。

段取りとは計画の内容だけでなく、そこで生じるトラブルまで予見した含む壮大な脚本と言える。脚本なので時には不要となる部分も出てくるだろうが、そこまで含めて段取りなのだ。

なお、本書では段取りの重要性を以下のように述べている。

うまく段取りを立てられるようになると、人生が楽になっていきます。なぜなら、科学的に正しい段取りの整え方を身につけると、あなたが本当にやるべきことだけに集中できる状態が手に入るからです。

位置No.15

もし段取りが無い状態で仕事をしようとすると、仕事の途中で発生する割り込み業務に対して「保留」や「後回し」をすることになる。これは脳に負荷をかける原因になるためできるだけ避けたい。

日本人の多くは「防衛的ペシミスト(=悲観主義者)」であり、簡単に言うと心配症だ。よって、何か計画を実行するときに心配事を抱えたままだと、そのことが気になって目の前の仕事に集中できなくなってしまう。

段取り力が高い人であれば、業務を遂行する上で発生した心配事に対して然るべき対策を打てる。事前の準備段階でトラブルを予見しているためだ。

そして、心配事を処理したうえで、あるいは処理できるという安心感をもって目の前の重要なタスクに集中して取り組むことができる。

したがって、限られたリソースを目の前の業務や新しいことに集中させるために、段取りは必要不可欠なものなのである。

WHAT?:MACの原則とは何か?

現在のところ最も効果的なゴールの設定方法とされているのが、 アイントホーフェン工科大学の研究チームがまとめた「MACの原則」です。

位置No.536

MAC」のアルファベットはそれぞれ以下の意味である。

  • M:Measurable=測定可能性
  • A:Actionable=行動可能性
  • C:Competent=適格性

つまり、目標を立てるときに「成功基準を数値化し、できることを具体化し、自分の価値観に合っているか確認する」ということである。

目標の数値化や手順の具体化は想像もつきやすく、実行している人も多いと思う。

しかし、MACのCである「適格性」では、目標が自分の価値観と照らし合わせて自分にとって意味があるか、納得できるかを確認することになる。

このような基準で目標を考えることがなぜ重要かというと、人間は感情に行動が左右されるためである。

メンタリストのDaiGoさんが言うと説得力があるが、人間は数値(=お金)と行動内容(=やること)だけではやる気が継続しないという。

その目標がそもそも自分がやる価値があるのか、という視点がないと、がむしゃらにやることが増えてしまう。

副業で本業以外の収益の柱を作ろうと考えたときに、一般的には比較的時給の低いバイトをするのは勧められない。スキルアップにつながらず、自分の余暇時間を切り売りすることになってしまうからだ。しかし、MACの法則に照らし合わせて

  • M:時給1,000円の居酒屋バイトを月30時間、半年継続する
  • A:近所でバイトの求人を急募している居酒屋に応募する
  • C:普段は個人作業が多いから接客業の経験を積みたい

となり、MACすべてに納得できるのであれば問題ない。一方、MとAが明確で満足できるものでも、Cが納得できないというのであればその計画を実行するべきではない。恐らく途中で挫折してしまう。

私の場合は複業をしようと考えた結果、ブログの収益化に取り組むことにした。この場合のMACは次のようなものだ。

  • M:半年で月間3000PVを目指す
  • A:WordPressで独自ドメインブログサイトの運用、余暇時間(主に早朝)にブログ記事執筆、Twitterの活用、デザインスキルの習得によるブログサイト品質向上
  • C:稼げるスキル(文章やデザインによるアウトプット能力)の習得と新しい人・コミュニティとの出会いを実現したい

Mは、まず半年間は何があっても継続する、かつ脱ビギナーを目指すという目標である。

Aは掘り下げようと思えばいくらでも細分化できるが、ある程度道筋は見えているので問題ない。

そしてCに関しては、これまで新卒入社した企業で10年間、異動もなく、同じような仕事を同じような顔ぶれのメンバーでやってきた結果、新たな環境を求めている。

本業では新しいスキルや出会いに期待できないため、複業でその機会を作りたいと考えたのだ。

このように、MACの原則に照らし合わせて自分の取り組みの目標を見据えることで、現実的かつ挫折しづらい計画を立てることが可能になる。

HOW?:どうやって段取りを立てるべきか?

段取りを立てるためのコツは、以下の3つである。

1.やるべきことをToDoではなく、スケジュールに書き込む

ケビン・クルーズ氏の著書『1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣』(パンローリング株式会社、2017年)でも述べられていたように、DaiGoさんもToDoリストは使わない方がいいと述べている。

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時計と「Time Management」と書かれた紙

ToDoリストを見ただけでは優先順位がわからないというデメリットがあるため、ToDoリストを使う人は多くの場合、すぐに完了する項目から実施することになる。

このデメリットに対処するため、スケジュールにやることを組み込んでいく。これにより、そのスケジュールで決めた時間については目の前の1つのことに集中できる環境が出来上がるのだ。

また、スケジュールを立てる場合に予定をパンパンに詰めこんではいけない。

スケジュール は、 何をするべきかを見やすくするためのものです。 自分が何をして、どう時間を使っているのかを 把握するためのもの。予定を次々と入れて、時間を埋め、安心感、充足感を得るため のノートではありません。
極端に言えば、「 空きのないスケジュール = 成長の可能性の乏しい人生」です。

位置No.1812

スケジュールでやらないといけないことを可視化したら、空いている時間帯で自分のスキルや能力を向上させることを考える。スケジュールを自分を成長させるためのツールとして使うのだ。

2.仕事をする前に、目標とステップを明確化する

「MACの原則」において、測定可能(=M)かつ行動可能(=A)な目標を立てることが重要であると述べた。

上司から急に仕事を振られたときに、その目標とステップが明確になっていないと、自分が何をするべきかがわからず、その割り込み作業に時間を取られてしまう。その結果、自分が立てていた段取りが乱れることにもなる。

よって、仕事に着手する前には上司が求めるアウトプットのイメージ(=水準)を確認し、そのアウトプットを出すために必要な手順を考える。

この作業そのものが段取りを立てるということだ。これを確実に行うことで、無駄に作業したりやり直しが発生することを避けられる。

3.挫折・トラブルを計画に組み込む

事前 に「 サボる日」を予定に組み込んでしまうというもの。張り詰めてがんばり 続け、どこかで緊張の糸がプチンと切れ、「どうにでもなれ効果」のような強い反動が出ることを抑えます。

位置No.1036

DaiGoさんは、長期的なプロジェクトを実行する際に「サボる日=チートデイ」をあらかじめ計画しておくことを勧めている。

例えば、ブログを収益化する場合を考える。

ブログから収益を得ようとする場合、記事の原稿を書く、ブログサイトに記事をアップロードするために文章を調整する、アップロード後にもGoogleアナリティクスなどで実績を確認する、必要なら記事を修正(=リライト)する、といった地道な作業をコツコツ積み上げることになる。

(しかも、このような作業を1カ月、3カ月、半年、1年…と継続しても、収益が発生しないケースもある)

一方、「ブログで成功するためには毎日記事を更新する」というアドバイスや成功体験が語られる場合もある。仮に必死で毎日記事を書いても、長期間成果が出なければ、モチベーションが消失するだろう。せっかく始めた新しい取り組みも頓挫してしまいかねない。

そこで「チートデイ」として「この日はブログのことを考えなくても良い」という休養日を設ける。
この休養日はいわば計画における挫折であるが、挫折を前もって計画しておくことで「チートデイまでは努力しよう」とモチベーションを保つことができる。


本書では、心理学の実験結果なども豊富に盛り込みながら、段取りを重視した計画術について解説されている。

とはいえ、どれだけ周到に段取りをしても、自分ではコントロールできない環境要因で計画がつまづくことはある。

そのつまづきも、振り返ってみれば学びや気づきを得ることができる。つまづいた段取りからも将来の改善案が手に入るのだ。

段取りを意識することで、新しく始めたことを継続しやすくなるのは間違いない。このブログも無理せず成果が生まれるまで継続していけるよう、段取りの改善に努めたい。

海に飛び込んでいる男性
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