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遊び心と修正主義で情報編集力を身につける

  • 2019-05-12
  • 2019-06-26
  • 書籍
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高校生に伝えたい、世の中を生き抜くチカラ

私には甥が二人いる。姉の子供で、昨年の春にそれぞれ高校と中学に入学した。

私と姉は実家に帰省するタイミングを合わせることが多く、二人には小さいころから年に2~3回は会っていた。

二人とも不登校になった時期もあったり、勉強や学校での人間関係にはそれなりに苦労している様子だった。

そんな彼らに、私が人生の先輩として何かしら伝えられることがあるのだろう、とは思う。けれど、残念ながら私は口下手で、甥もシャイだ。お互いの性格上面と向かって真面目な話をするのは、ちょっと難しい。

そこで彼らに入学祝いとして、私が読んだ中で「中学生・高校生にも読んでほしい」と思える書籍を送ることにした。

そのうちの1冊が、藤原和博さんの著書『10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」』(ダイヤモンド社、2017年)だ。

著者は教育革命実践家として有名で、杉並区立和田中学校や奈良市立一条高校で校長をされていた経験がある。

本書は高校生を対象として、親とは異なる変化の激しい時代を生き抜くためにどのようなチカラを身につけなければならないか、が述べられている。学生はもちろん、子を持つ親にとっても参考になる内容が多く、さらには自分自身の生き方を見つめ直すきっかけにもなる。

以下に、本書の気づきをまとめたい。

WHAT?:情報編集力とは何?

本書では、情報編集力を5つのリテラシー(要素)から構成される能力と説明している。

  1. コミュニケーション
  2. ロジカルシンキング
  3. シミュレーション
  4. ロールプレイ
  5. プレゼンテーション

これらのリテラシーを鍛えると、正解がなかったり正解がひとつではない問題を解決することが可能になるという。つまり、変化の激しい時代にも追随し、世の中に価値を提供し続けられる。したがって、情報編集力を鍛えられれば「雇われる力」を身につけられるのだ。

著者は、この編集力が高い人物に共通する特徴として「遊び心」がある、という。

遊びやゲームでは、しょっちゅう想定外のものごとが起こる。私の子供たちが公園で遊んでいる様子を眺めていても、使いたかった遊具が修理中で使えない、ペットの犬を散歩させている人が何人かいる、急に雨が降ってくる、といった想定外がある。

そういった想定外に遭遇するたびに子供たちは元々やりたかったことを修正し、楽しい時間を過ごせるように工夫することになる。このような経験がイマジネーションを育むのだ。

WHY?:なぜ情報編集力が必要?

いわゆる学校の勉強を積み重ねることで身につく力、受験勉強のための学力を「情報処理力」と言うが、この力を伸ばすだけでは差別化ができなくなっている。

山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社、2017年)にも「正解のコモディティ化」という話が出てくる。情報処理力は論理的・理性的に正解を導く優れた能力だが、世の中の情報処理力の高い人が導きだす解決策は似たようなものになる。したがって、情報処理力だけに頼ると差別化ができなくなってしまう。

そこで、情報編集力を高めることにより、正解主義ではなく修正主義を体得する。修正主義とは、自分で立てた仮説をどんどん修正していくことで解決策を見つけようとする態度だ。修正主義により、これまでの情報処理力一辺倒では思いつかなかったようなアイデアを実現し、イノベーションを起こすことが可能になる。

仕事に関して言うと、例えば企業内で新規事業を実行する上でも、修正主義は重要だ。

社内の会議室で、正解主義をもとに新規事業のアイデアを練っても、なかなか良いものはできない。まだ種のようなアイデアを想定顧客のもとに持ち込み、フィードバックを受けて修正するからこそ、良い事業案ができるのだ。

著者は修正主義を育む情報編集力を「レゴ遊び」に例えている。レゴブロックは一見どれも似たような形だが、少しずつ大きさや役割が異なる。これらのブロックを無数に組み合わせることで、動物でも家でも乗り物でも、文字通りなんでも作ることができる。

ブログもTwitterも100点を目指していると、いつまでたっても公開・投稿できない。修正主義を身につけ、どんどんフィードバックの模索する方がブログ力・Twitter力を高められるだろう。こう考えると、前向きにアウトプットに取り組むこともできる。

HOW?:どうやって情報編集力を高める?

情報編集力の重要性がわかったところで、ではどのようにこのチカラを鍛えればいいのか。

著者の提案をひとつ挙げると、「ナナメの関係でコミュニケーション力を上げる」ことだ。

「ナナメの関係」というのは、親子・上司部下のような「タテの関係」でも、友人のような「ヨコの関係」でもない、世代を超えた先輩・後輩との関係のことだ。

このような関係の相手とは、お互いのバックグラウンドが異なる。そのため、試行錯誤しながらコミュニケーションすることになる。この経験がコミュニケーション力を鍛えるのだ。

今の世の中であれば、オンラインサロンやSNSのような形で「ナナメの関係」を作る手段は豊富にある。

私自身も職場と家庭以外の人間関係を構築したくて、積極的にこれまでまったく関わりのなかった社内の他部署の先輩・後輩にメールでアポイントを取って昼食がてら話を聞きに行ったりしている。社内だから大して広い世界ではないが、これまで話したことがない、共通点の少ない方と会って話をするというのは貴重な経験だ。

社内に知り合いが増えたところで、いきなり仕事の成果に直結するわけではない。しかし、いつも自分が過ごしている「職場という限られた世界」がすべてではない、と思えるだけでも気が楽になる。


本書では今後、大学入試が情報編集力を問う内容になっていくと述べられている。私の子供たちの世代は、義務教育のうちから情報編集力の5大リテラシーを鍛えるような教育を受けることになるだろう。

一方、大人は意識しないと情報編集力を鍛える機会はない。仕事をする期間がこれからますます長くなっていく現在の社会人こそ、情報編集力の向上を意識し、自分の価値向上にまい進するべきだ。

私も複業に関する活動を通して、情報編集力を高め続けたいと思う。

修正主義のレゴ型学力を身につける
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