ここ数年「UX」とか「UXデザイン」という言葉をよく聞くようになりました。
とくにサービス開発や事業開発の分野で注目されていて、企業内で新規事業開発を担当する人の中には「自社でもUXデザインに取り組まないといけないのかな・・・」という焦りを感じている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、UXデザインとはどのようなもので、どのように進めていくのかを解説します。
UXデザインって何?
「UXデザイン」という言葉を聞いて何をイメージするでしょうか?「デザイン」というくらいですから、何かをカッコよく見せたり、オシャレにしたりするものでしょうか?
そもそも、この「UX」とはユーザー・エクスペリエンス(User eXperience)のことを指します。日本語にするなら「顧客体験」となります。
「顧客の体験をデザインする」というのはイメージしづらいかもしれませんが、簡単に言うとユーザーにとっても製品やサービスを提供する企業にとっても良い体験が得られる状態をつくることです。
ユーザーからすると、UXデザインによってこれまで使っていた製品やサービスがもっと使いやすくなったり、使っていて心地よく感じられたり、もっと使いたいと感じられるようになります。
一方の企業としても、UXデザインによって顧客満足度が高くなり、これまで使ってくれているユーザーがリピート利用したり、周りの人にオススメしてくれたりして、売上や利益の増加によりビジネスを成功に導くことが可能になります。
では、UXデザインでは一体何をデザインするのでしょうか?
UXデザインって何をデザインするの?
UXデザインの対象となるものは、企業が提供している製品やサービスそのものに加えて、それをユーザーが体験するために必要なものすべてです。
例えば、製品やサービスを利用する前にユーザーが触れることになるWebサイトや店舗、広告、DM、接客してくれる店員さんの対応、パッケージ、取扱説明書、トラブル時のサポートセンターの対応など、ありとあらゆるものが対象になります。
もちろん、これまでも企業はUXデザインについて知らなくても、ユーザーに喜んでもらえる製品、使いやすいWebサイト、印象の良い広告、わかりやすい取説を作ってきました。
でも、企業の中では製品を作る人と広告を作る人、取説をつくる人は別々の人です。それぞれの設計を担当する部署が異なるためです。
この状態では、その製品やサービスを利用する上で一貫した顧客体験を実現することが難しくなります。
とくに、スマホが普及した2010年代以降は、ユーザーは家の中でも外でもネット環境を使うことができるようになったため、ユーザーの状況に対応したより便利な体験が求められるようになってきました。
さらにネットが普及して口コミやレビューが増えたことで、製品やサービスに関する評価を簡単に見ることができるようになり、ユーザーが購入するときの判断基準になりました。
その結果、企業はユーザーが製品やサービスを利用する体験を通じた評価をしていることを知り、他社の製品やサービスと差別化するためにUXデザインが重要であると気が付いたのです。
そんな重要なUXデザインの進め方について見てみましょう。
UXデザインってどうやって進めるの?
UXデザインの進め方は対象となる製品やサービスによって変わりますが、概ね以下のような5つのステップとなります。
ステップ1:UXデザインプロジェクトの目的を決める
UXデザインの対象となる製品やサービスについて、どのようなゴールを達成したいか決めましょう。
例としては以下のようなものがあり、それぞれUXデザインの内容が変わってきます。
- 新しいヘルスケアサービスを立ち上げる
- 自社製品の家電製品を利用するユーザーを増やす
- 自社のSaaSサービスを利用するユーザーの継続率を高める
できるだけ計測可能な数値目標を設定して、ゴールを達成できたかどうかを確認できるようにしましょう。
ステップ2:ユーザーを分析する
優れた顧客体験を設計するためには、ユーザーについてよく理解する必要があります。
そのための方法には、インタビューやアンケート、競合企業の調査など様々な手法があり、目的に応じて使い分ける必要があります。
ユーザーニーズを調査するときのポイントは、実際に自社の製品やサービスを使用している、または使用してくれる可能性のあるユーザーの「表に出ていない要望や価値観」を把握することです。
企業側の思い込みを排除して、ユーザーの抱える課題を正確に捉えることが重要です。ここがしっかりできていないと、より良いUXが実現できません。
ステップ3:製品やサービスの体験を設計する
ユーザーを理解してニーズを見つけることができたら、そのニーズを実現するための体験を設計します。
設計した体験を理解しやすくするため、ユーザーが自社の製品やサービスを利用する際の流れをシナリオとして整理し、関係者で共有します。
このとき、カスタマージャーニーマップというシナリオを図示化したものを用いることが多いです。
ステップ4:製品やサービスを設計・実装する
体験の設計ができたら、今度はそれを実際の製品の機能やサービスの提供方法などに落とし込んでいきます。理想的な体験を再現するために、ユーザーインターフェース(UI)の設計を行うこともあります。
実装段階では、まずプロトタイプとして、設計した通りの製品やサービスが実現できるかどうかを判断するための試作品を作ります。
ステップ5:製品やサービスを評価する
プロトタイプを実際にユーザーに使用してもらい、どのような反応があるかを確認します。
評価方法としては、プロトタイプを使用するユーザーを観察するユーザーテストや、限られた地域や企業などを対象に販売して使用してもらうテストマーケティングなどがあります。
ここで評価する内容は、設計した通りの体験が実現できているかどうか、さらに、その体験によりユーザーのニーズが満たせているかどうかです。
評価の結果、変更が必要な場合はここまでのステップの2~4のどこかに戻ってプロセスを再スタートします。
見出し4:まとめ
UXデザインの大まかな内容について理解できたでしょうか?
本ブログでは、新事業開発やサービス開発に必要なUXデザインについてわかりやすく解説します。筆者であるかきえもんは企業内で新規事業開発に携わっています。事業開発の現場で、自ら試行錯誤して得た学びや気付きをシェアしていきます。
UXデザインについて興味を持って頂けて、もっと体系的に学びたい方、実践的なスキルを身に付けたい方は、テックアカデミーのUI/UXコースがお勧めです。
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