第3子が誕生した際に育休を取得
私の勤務先には育児休職制度がある。制度自体はかなり古くからあったようだが、男性が育児休職を取得する例は少ない。
ちなみに勤務先が社外向けに公開している育休取得率を見てみると2017年度で7.3%と1割にも満たないのが現状だ。しかも、1日でも育休を申請すれば取得したとカウントされることになるため、何カ月も育休を取得する男性は相当少ないだろう。
私の場合、第1子と第2子(双子)が生まれたときは育児休職を取得しなかった。多胎妊娠は早産のリスクが高いため、出産予定日の2カ月ほど前から実家近くの病院に管理入院していた。双子が生まれた後の4カ月ほど、妻は実家で家族の支援を受けながら育児を行っていた。
しかし、第3子は里帰りせずに出産したため、私と妻の両親からの支援はほぼ受けられなかった。そこで、私が育児休職を取得して家事と3人の子どもの育児を担おうと考えたのだ。
育休中の代表的な1日の様子
私の育休中の1日の代表的なスケジュールを図にした。
大体起きている時間(17時間くらい)の1/3の時間を家事に充てていたことがわかる。実は、育児をしている時間よりも家事の時間の方が長いのだ。
男性が育休を取る目的は「育児に集中できる環境づくり」
私が取得したのは「育児」休職だが、実際には育児をするために休職するわけではないな、と感じた。
実際には「育児を含む家事全般」をするために仕事を休んでいるのだ。私の場合は、妻が新生児の育児に集中できる環境を整えるため、休職して家事を行っていた。生後1カ月の乳児にたいして男性ができる育児は、おむつ替えと沐浴くらいのものだ。
実際、私の妻は「旦那が仕事を休んで(収入を減らして)まで育児を助けてほしいとは思っていない」らしい。
日本の多くの共働き家庭の現実問題として、日常的な家事は女性が担当している割合が高い。その日常的な家事を、育児休職中の夫が一手に引き受けることに男性の育休取得の価値がある。新米ママが赤ちゃんと向き合い、慣れない育児に集中できる環境を整えることが、新米パパにできる最大の育児であると考えられるからである。
夫に育休をとってほしくない理由として「大きな子供が増える(ただでさえ子供に手がかかるのに、旦那が家にいたらさらに手がかかる)」というものがある。
育休をとるつもりの夫は事前に奥さんと相談し、今現在、奥さんが担当している家事をすべて引き継ぐ必要がある。
育児休職が推奨される理由として「ワークライフバランスを見直すきっかけを与える」「新米の父親に新生児と触れ合う時間を確保し、父親としての自覚を持たせる」といったことも重要だが、最優先すべきは「産後1~2カ月の間、家事を担うこと」だと思う。
個人的には、夫が普段やっていない家事の遂行能力を高めること自体に、複業の効果もあると思う。
家事も育児も想像以上に意思決定の連続だ。意思決定の精度は、意思決定を重ねる経験によってしか鍛えられない。複業として捉えると、家事・育児は意思決定のトレーニングになると思う。
また、私の場合は、日常業務を離れて自分のキャリアや働き方を考える機会にもなった(たまたま育休取得の時期が、私の勤務先のMBO目標設定および人事調査の時期と被ったからかもしれないが)。
育児休職の注意点
実際に育児休職を取得した場合、気になるのは収入が減ってしまうことだ。
いくつか条件があるが、休業開始時から180日目までは賃金の67%(それ以降は50%)の育児休業給付金が支給される。さらに、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料が納付されたものとして取り扱われる。
したがって収入が完全に途絶えることはないが、育休期間が長くなるともう一つ減るものがある。賞与だ。
育休期間中は休職中であるため、賞与の評価期間がその分短くなってしまう。会社の就業規定によるが、賞与が減ってしまう可能性が高い。
育児休職の取得をためらう理由はいくつもあるが、収入の減少は生活に直接的な影響があるため大きな理由となる。
もっとも、この期間を利用してスキルアップに注力し、複業・副業によって収入を増やすことも不可能ではないだろう。育休取得前にそこまで見通して考えておくことができるかどうかで、育休期間をどれくらいにするか、を考えることが可能になる。
これから育休を取得する予定の方は、
- 家事・育児について引き継いでおく
- 育休期間中の収入減少がどれくらいになるか試算しておく
- 育休期間中に複業ができるか考えてみる
といったことを考えておくと、有意義で家族も自分自身も得るものの大きい育休となるはずだ。